【当システムは販売を完了しています】
最近ニュースなどでよく耳にする地球温暖化現象は、年々増えている大気中の二酸化炭素(CO2)が原因で起こっています。同じように、海の中の二酸化炭素も年々増えています。二酸化炭素は水に溶けると酸の性質を示します(水のpHを下げます)。そのため、海の二酸化炭素の量が増えると、海水は酸性化してpHが下がっていくことになります。
数十年先の未来、現在より大気中の二酸化炭素が増えることによって引き起こる海水の酸性化が、海の生物へどのような影響を与えるのかを調べることは、未来の海の生態系を予測するのに大変重要なことです。
展示中の二酸化炭素添加実験システムは、白浜の海水を採取して二酸化炭素濃度を測り、「現在の二酸化炭素濃度の海水」と「未来の二酸化炭素濃度の海水」を水槽内で擬似的につくり、その中で生物の育成実験をしています。海水中の二酸化炭素濃度は、潮汐、水温変化、海の生物の光合成、呼吸など、さまざまな要因で日内変動や季節変動をします。海水中の二酸化炭素濃度を連続で測り、水槽内の二酸化炭素濃度を変化させることで、実際に起こっている現象を正確に反映し、「現在の海」「未来の海」により近い環境を作っています。
(1)白浜の海水をポンプで汲み上げ、大量の海水とわずかな空気を混ぜる気液平衡器に入れ、海水中の二酸化炭素と同濃度の空気(平衡になった空気)を作ります。
(2)平衡になった空気を二酸化炭素測定装置に導きます。ここでは、まず「平衡になった空気」の水分を取り除き、赤外の吸収を調べて二酸化炭素濃度を測ります。このようにして、海水中の二酸化炭素濃度(溶存二酸化炭素分圧)を正確に測ります。
(3)CGMインターフェイスでは、測定した「海水中の二酸化炭素濃度」をもとにコントロールガス調製器へ「測定した値の二酸化炭素濃度の空気」と「この値にある濃度を加えた空気」を調製するように指示をします。
(4)コントロールガス調製器は、100%CO2ボンベガスとゼロガス精製器で作られたゼロガスから目的の二酸化炭素濃度の空気を作ります。
(5)作られた空気を水槽内へ添加することで、「現在の二酸化炭素濃度の海水」と「未来の二酸化炭素濃度の海水」を作ります。この水槽内で育成実験することで、今後さらに大気中の二酸化炭素が増えた時、海の生物はどのような影響を受けるのかを観察することができます。
非分散型赤外線吸収法(NDIR)*により、二酸化炭素濃度の測定を行います。あらかじめ二酸化炭素濃度の決まっている標準ガスを1日数回測定することで、さらに正確な測定が可能です。大気中の二酸化炭素濃度は大気をそのまま測定できますが、海洋中の二酸化炭素濃度は気液平衡器で海水と気液平衡に達した空気を作り、その空気を測定することで求めることができます。
●当館では、300ppmと750ppmの標準ガス2本を1日1回測定し、校正をしています。
*非分散型赤外吸収法(NDIR):二酸化炭素分子が赤外線(波長4.26ミクロン)を吸収することを利用して、その吸収量から二酸化炭素濃度を求める方法。低濃度であると入射光の減衰が小さく、高濃度であると減衰が大きくなります。
仕 様 | |
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名 称 | 二酸化炭素測定装置 |
型 式 | CO2-2000T |
測 定 | 溶存二酸化炭素分圧および大気二酸化炭素濃度 |
測定方式 | 検出部:NDIR (非分散赤外線吸収法) |
測定範囲 | 0〜1000ppm |
再 現 性 | 0.3ppm (370ppmの標準ガスを6時間おきに導入した場合) |
除湿方法 | 半透膜除湿器 |
外形寸法 | W450×H666×D340 (mm) |
海水を気液平衡器に15L/分で流し、バブリングガス生成装置で作られた乾燥空気を混合することで、海水中の二酸化炭素と正確に気液平衡に達した空気を作ることができます。
*(独)国立環境研究所と紀本電子工業株式会社との共同特許
仕 様 | |
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名 称 | フロースルー方式 タンデム型気液平衡器 |
型 式 | Eq-701 |
外形寸法 | W500×H1700×D480 (mm) |
高濃度二酸化炭素ガスと二酸化炭素ゼロのガスをそれぞれ流量コントロールし、ふたつのガスを混合させることで目的の二酸化炭素濃度のガスを調製することができます。高濃度ボンベガスに100%CO2を使用することで、0〜4000ppmの二酸化炭素濃度のガスを5L/分で調製することが可能です。
●当館では、コントロールガス調 製器を2台使って、「現在の海の二酸化炭素濃度」と「未来の海の二酸化炭素濃度」の2種類の空気を作って水槽内に添加しています。
仕 様 | |
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名 称 | コントロールガス調製器 |
型 式 | CGM-05 |
調製ガス | CO2 |
調製方式 | 熱線式流量制御装置による 流量比混合法 |
原料ガス流量 | F.S. 20mL/分(0℃,1013hPa) |
希釈ガス流量 | F.S. 5000mL/分(0℃,1013hPa) |
原料ガス | 100%CO2ガス |
希釈ガス | CO2を除去した空気 |
安 定 性 | 調製ガス濃度の±3%/8時間 |
再 現 性 | 調製ガス濃度の±3%以内 |
外形寸法 | W210×H310×D400 (mm) |
最大20L/分の二酸化炭素ゼロのガスを精製することが可能です。 このゼロガスをコントロールガス調製器に供給しています。
仕 様 | |
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名 称 | 大容量ゼロガス精製器 |
型 式 | ZGG-05 |
精製ガス | 希釈用ゼロガス |
精製方式 | 除湿及び吸着剤による精製浄化 |
原料ガス | 周囲大気(CO2が1000ppm以下) |
供給流量 | 最大20L/分 |
精製純度 | 露点0℃以下 CO2 5ppm以下 |
外形寸法 | W600×H670×D400 (mm) |
二酸化炭素測定装置で測定された二酸化炭素濃度の値をもとに、複数台のコントロールガス調製器を制御することが可能です。また、測定値にある濃度を加えた空気を調製させることもできます。
仕 様 | |
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名 称 | CGMインターフェイス |
型 式 | CIF-05 |
外形寸法 | W280×H190×D260 (mm) |