Air Marathon
米国環境保護庁(EPA)では、PM
10に代わる測定項目としてPM
cに注目し、2003年3月からアメリカ国内の粉じん組成の異なる地域に移動しながら試験を行った。
測定地点 |
期間 |
概 要 |
Durham, NC |
10日間
Jan, 2003 |
5日間
Mar, 2005 |
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EPAリサーチトライアングル内での試験運転 |
Gary, IN |
30日間
Mar-Apr, 2003 |
15日間
Jan, 2004 |
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重工業地域(製鉄・石炭工場に隣接) |
Phoenix, AZ |
30日間
May -Jun, 2003 |
砂ばく地域(夏冬2回実施)(国際空港に隣接) |
Riverside, CA |
30日間
Jul -Aug, 2003 |
農業地域(LA近郊) |
今回の観測は,Durhamでテスト運転を行った後、Gary(2003年3-4月)、Phoenix(2003年5-6月)Riverside(2003年7-8月)でそれぞれ延べ30日の観測を行い、さらにPhoenixで2004年1月(15日間)と2005年4-5月(30日間)に季節の異なる比較観測を行った。 各観測点におけるSPM-613DとFRMの相関(22h値)を右図に示す.3地点でPMcの相関はほぼ1:1であり、高い相関が得られた。これに対しPM2.5に関しては、PMcと同様に高い相関が得られたものの、SPM-613Dの濃度がFRMより高い傾向にあり、その傾きも一定しないことが分かった。
このことは、サンプリング時間の長いFRMの方がPM2.5中の低沸点成分の揮発の影響をより大きく受たため、結果としてサンプリング間隔の短いSPM-613Dの濃度が高なったものと考えられる。
PMcに関して、第2期フィールド試験(Durham, 2005年3月)の結果から、22h値の比較をおこなった。本フィールド試験に参加している他社のPMc測定装置の結果と比較しても、SPM-613DがFRMの濃度と相関がきわめて高いことが分かる。
全観測データについてSPM-613DとFRMの比較を行った。その結果を下図に示す、PM2.5についてFRM/SPM613D比を縦軸に、横軸にサンプリング時の気温をとってみると、気温の上昇とともに比が小さくなることが分かった。このことは、前述したようにFRMのサンプリング時間が長いため、気温高いほど低沸点成分の飛散の影響が大きくなったものと考えられる(左)。また、上述の温度影響を補正した比と絶対湿度についてプロットした(右)ところ、湿度が比較的高かったRiversideでは、湿度が10g/kgよりも大きくなると、粉じんが吸湿をはじめ、その比を小さくすることも分かった。